ガス給湯器不良工事

ガス給湯器の交換工事や、現場調査に出向くと「とんでもない」工事に出会うことがあります。給湯専用器や、普通の追いだき器の交換であれば、少しの知識さえあれば「ガス可とう管接続」の資格だけで工事ができます。しかし、暖房用熱源機は知識と経験がなければ難しく、1990年台前半より前の機種であれば、いくらその後継機と言えども配管位置が異なっていますので、配管の取り回しを適正に処理する必要があります。工事資格があるからと謳っていても、「ガス可とう管接続」の資格や、「ガス機器設置スペシャリスト」の資格では、ガス栓上流(メーター)側の工事は違法です。「ガス可とう管接続」「ガス機器設置スペシャリスト」の資格でおこなえる工事は、ガス栓(コック)の下流(機器)側での接続のみですが、リフォーム会社の現場や、給湯器専門を謳っていても無資格ヤミ工事がおこなわれている実態があります。

都市ガスの場合は大阪ガスの簡易内管施工登録店の資格が、LPガスの場合は特定液化石油ガス設備工事事業者の資格が必要です

※この資格は会社が保有する資格です

単純に機器の交換工事ではない場合、必要な資格の有無を確認してください。

※都市ガスの場合は、大阪ガスで登録店証番号で確認ができます

※LPガスの場合は、特定液化石油ガス設備工事事業者証の有無で確認ができます

「お湯が出たらいい」の工事は、漏水の原因や機器の寿命を短くしてしまいます。実際に「給湯器交換時の漏水で高額な水道料金の支払いが発生した」などのお声を耳にすることもあります。施工に自信のある会社は、ホームページに施工事例を掲載しています。しっかりした工事業者をお探しの際は、施工事例の掲載有無をひとつの基準として選ばれることをお勧めします。


以下、これまでに給湯器交換工事で遭遇した案件です

温水暖房機能不良

「床暖房が一つ暖まらないので交換しようか考え中」とのこと。現場調査すると床暖房熱動弁のリモコン線が「1系統結線されていない」これでは暖まるはずもなく、「故障ではないので交換の必要はありません」結線して終わりました。「床暖房の配線接続がされていない」など、有り得ない工事です。温水暖房機は、全ての動作確認が必要ですが、忘れた?おこなわなかった?そもそも「配線をコネクタ部で接続しておりながらリモコン線に結線しない」は論外です。熱動弁のヘッダーにも、いつくかの種類があります。熱源機から離れた場所にヘッダーが位置している場合(2000年代以前)床暖房も高温側(1温度)で回っています。※床暖房リモコンに温度コントロールが付いています

このタイプの熱動弁が故障すると、熱動弁の交換だけでは作動しません。温水暖房用熱源機の交換工事は、知識と経験があり信頼のおける会社にご依頼ください。

排気不良

排気筒不良

マンションのPS扉内設置後方排気型や上方排気型、屋内設置上方強制吸排気型等、排気延長型(排気筒が給湯器に接続されている)給湯器では、同じメーカーの後継機種以外、排気筒の位置が僅かに異なるだけでも排気筒の交換や加工、追加部材が必要となります。排気熱は約200℃の高温となるため、ステンレス管に可燃物対策としてロックウール等の断熱材で保護した排気筒が使用されています。ところが、交換工事後の現場では、安価で工事が簡単なアルミのスパイラル管で接続されている現場がありました。排気筒にアルミ管使用は違法です。アルミは数年でボロボロに劣化し排気漏れを起こします。排気筒工事を伴う給湯器交換には、資格が必要です。資格プラス、知識と経験があり信頼のおける会社にご依頼ください。

排気口径不足

マンションのPS扉内設置前方排気型で、PS扉の開口部径が交換機種の基準を満たしていないことがあります。機器の設計上は、開口部の面積が排気筒径の1.42倍以上となっており、これに満たない場合は、失火停止の恐れがあると、されています。この現象が発生した施工現場ではメーカーの修理を受けることが出来ません 集合住宅にお住いの方で、これに該当する可能性がある場合は知識があり信頼のおける会社に一度ご相談ください。

燃焼ガスによる不完全燃焼

戸建住宅で、給湯器の排気口前面に障害物がある場合、その離隔距離によっては燃焼ガスを吸気口から吸込むことで、不完全燃焼を起こすことがあります。また、不完全燃焼による失火停止にならなくても、給湯器の寿命を短くすることがありますのでご注意ください。

配管接続不良

追いだき配管や給湯配管の既設配管に樹脂製が使われていて、機器交換により延長が必要な場合、柔軟性がある樹脂管と、柔軟性がないスレンレスフレキ管の組み合わせでの延長は、樹脂管が座屈することによりエラーが発生することがあります。樹脂管とスレンレスフレキの組み合わせで延長されている現場を見かけることがありますが、「樹脂管の延長には樹脂管で延長」がセオリーです。樹脂管は必ず伸びますので、部材の持ち合わせがなく、あり合わせの部材で工事をされると、後々に座屈が発生することがあるので注意してください。

追いだき配管接続不良

現在の追いだきの循環アダプタには「往き、戻り」はありません。よって、往き戻りの配管はどちらに接続しても構いません。しかし、初期型の循環アダプタには「往き、戻り」があったので、交換工事の際は念のために「往き、戻り」に印を付けておきます。ところが、印の通りに接続したのに「追いだきで下の方がぬるい」と・・・。これは「逆つなぎ」の症状です。どうやら、元々が「逆つなぎ」されていたようで、交換前から「浴槽の底が冷たかった」とのことでした。浴槽の下側がぬるい場合は、施工不良によるものなので給湯器交換は必要ありません。無駄に給湯器交換をされないように注意してください。

上の写真の給湯器は手抜きか、「お湯が出たらよい」で専門知識がない者による工事です。赤破線、右端の配管は、凍結防止の保温チューブが割れていますし、最も凍結の恐れがある接続部が露出しています。中央は追いだき配管ですが、通常、追いだき配管は、凍結しないように樹脂やハイブリッドのペアホースを用い、フレキ管は使用しません。使用する場合でも、U字やループにならないように、ストレートに近い緩やかな曲げで接続します。これは左端の暖房配管も同じです。(銅管の場合は良い位置で切断してロー付けします)

これらの配管部を見る限り、プロの手によるものでないことは明らかです

この工事も明らかにガス工事会社によるものではありません。ガス管接続部に水道シール材が使用されており、おそらく水道設備関係の者による工事でしょう。ガス漏れによる事故は言うに及ばず、このような工事がなされていること自体、大きな問題だと言えます。また、給水配管は赤い破線のようにループしていますし、冬場は氷点下になる地域で給水給湯配管に薄手の保温チューブはNGです。お客さまのことを第一に考えると許されない工事です。

設置の強度不足

既設の給湯器が壁取付台に乗せられている場合、異なるメーカーや、同じメーカーでも製造の年代によって寸法が異なるため、壁取付台の位置変更ができない場合は加工が必要となります。寸法合わせに使うアングルは、十分な強度があるものを用い、しっかりとボルト止めをおこないます。

「小さな揺れの地震にも耐えられない」ような工事の現場を見かけることがあります。違和感や不安をお感じになられた場合は、施工店に確認してください。

ガス配管のラッパ接続

ガス配管の上流側のガス配管(ガス栓側)に対して、下流側(機器側)配管径を上げての接続は違法です。

※ガス給湯器のガス接続口径より、ガス配管径が小さい機種への交換はできません。

先の口径を上げることからラッパ接続と呼ばれ、交換工事の現場調査で目にすることがありますが、これに該当し、違法工事となります。ガス給湯器のガス接続口径より、ガス配管径が小さい場合は、

1.機種変更 2.ガス配管変更工事 の、どちらかとなります。違和感や不安をお感じになられた場合、都市ガスのは大阪ガスの簡易内管施工登録店、または大阪ガスのサービスショップに工事を依頼してください。

ポリエチレン管に対する紫外線予防

追いだき配管や温水暖房配管に使用されるポリエチレンの樹脂管は、紫外線を発砲被覆や遮熱管で保護しています。

遮熱管と呼びますが、遮熱ではなく紫外線を防ぐのが最大の目的で、ポリエチレン管は紫外線にあたると簡単にひび割れてしまいます。ポリエチレン管は温水で伸びますが、一方、発砲被覆や遮熱管は直接熱が加わらないため伸びることがありません。そのため、長く使用されているとポリエチレン管だけが伸び、接続部が露出することがあります。(腕の良い職人が新設した現場では、予め伸びしろを計算しています)給湯器交換時にポリエチレン管が伸びている場合は、ポリエチレン管を短く切って(散髪)接続します。配管カバーで覆われていても、隙間からの紫外線で劣化していることがあるので注意が必要です。

エコジョーズドレン配管の不備

エコジョーズのドレン配管は、間接配管で処理をすることになっています。機器本体のドレン接続口から、雨水等配管への直接配管をおこなってはいけません。

※ドレン水の凍結による機器エラーを、間接配管で防止します

また、必ず機器から排水管に向かって勾配が必要となるため、フレキ管、または塩ビ管を用います。

※ビニール等の柔らかなチューブでは勾配が確保できません

ドレン水も凍結することがあり、メーカーの工事説明書には「間接配管」と「保温」する部位についての記載があります。

エコジョーズドレン配管未処理

 エコジョーズのドレン水は垂れ流しで、コンクリートの犬走りが苔で変色しています。給湯器は製造年月日から、まだまだ使用には問題のない製品ですが交換の依頼がありました。本来なら工事をおこなった会社が施工不良で手直し処理されるのでしょうが、お客様のご依頼で交換することになりました。不良工事をされると大変「もったいない」ことになりますね。

※エコジョーズのドレン水処理の方法は、地方自治体の条例により定められています


ガス配管違法工事

壁貫通型ふろ給湯器(パックイン)の現場です。浴室内のホースエンドガス栓に接続されています。※下写真赤色上側波線 これは完全に違法工事です。しかも、強化ホースを途中で継ぎ足しています。※赤色下側破線強化ホースやメタルホースの継ぎ足しも違法です。おおよそガス工事会社の工事では有り得ない、おそらく水道設備会社の工事と思われます。家庭でホースを差し込むタイプの機器は、テーブルコンロくらいしかありません。※瞬間湯沸し器もネジ接続です。

ガス栓交換、強化ホース交換の工事写真です。青色破線部が正しいガス栓です。都市ガスでは、簡易内管施工登録店でなければガス栓交換工事はできません。

※LPガスは特定液化石油ガス設備工事の登録が必要

あいじょうでは、都市ガス、LPガスを問わず、ガス栓の交換も可能です。無資格の会社や無資格の工事職人が、このような違法工事をおこなっている実態があります。燃焼機器にこのような接続がされている場合、ガス供給会社にご相談されることをお勧めします。



あいじょうの標準工事仕様

保温処理

下の写真、左が工事前、右が工事後となります。工事前では、給水・給湯配管の保温チューブが10MM厚で、接続部が露出しています。また給水バルブにも保温処理がなされていません。当社の工事後と比べると一目瞭然です。六甲山系以北地域では保温チューブ20MM厚、接続部露出なしの完全保温、エコジョーズドレン管保温あいじょうガス機器設備事業部標準工事です。

※集合住宅等、スペースに制限がある場合は10MM厚を使用することがあります



左の写真が弊社の工事後写真です。20mm厚の保温チューブを使用し、給水バルブもハンドルを除き保温を施しています。また、ドレンの機器接続部にも保温で凍結防止をしています。弊社の工事では、極寒の中でも凍結の問題は、ほぼ発生しておりません。

「凍結でお湯が出ない」でお困りの際は、「この寒さなら仕方がない」ではなく、一度下から配管接続部ご覧ください。実は、「保温の施しが甘い」が、原因かも知れませんよ。


配管処理

下の左側写真は、20年以上前の据置型ふろ給湯器です。これを現在の機種に交換する場合、本体のサイズが奥行きが大きく、高さが低く設計されているため、そのままの配管で交換すると、中央写真のように給水配管が本体より上にはみ出してループします。配管を調整することは時間とコストがかかるので、価格勝負の会社ではこのような仕上がりになります。あいじょうのガス機器設備事業部の工事では、右側写真のように配管を調整してスッキリと仕上げます。

工事前
工事前
他社工事後
他社工事後
あいじょう工事後
あいじょう工事後


廃材の処理

給湯器の交換工事で出る廃材は、産業廃棄物処理法により管理処分することが定められています。これには、産業廃棄物の収集運搬についての許可が含まれており、工事を依頼されたご本人様以外が廃材を処理する場合、産業廃棄物収集運搬の許可がなければ廃材の運搬をおこなうことができません。あいじょう株式会社は、兵庫県、大阪府の産業廃棄物収集運搬の許可を取得し、産業廃棄物処理法による適正、且つ厳正に処理をおこなっています。このようなことは、あまり知られていないことですが、キッチリとした会社に依頼してください。